ターミナルケアについて
今日の進歩した医学をもってしても、人間にいつか死が来るのを防ぐことはできません。
病気が一途に悪化の道をたどり、ふたたび回復の方向に向くことがまったく望めないという状況にまで進行した場合、そして寿命があと2~3ヵ月。
あるいは数週間しかもたないという状態になった患者を"終末期の患者"と呼び、このときの患者のケアを"ターミナルケア"と呼んでいます。
病気がそこにいたるまでは、もしかすると病気の進行が停止するか、多少でも治療効果を期待することが可能ではないかと考えて、医師はできるだけ延命への努力をするものです。
しかし、いよいよ病気の進行が盛んとなり、どうすることもできないということがあきらかになった場合には、ただ延命のための種々の強力な処置をするよりは、できるだけ患者を苦しめないですむように、そして最期には平和な死を迎えさせるように配慮するのがターミナルケアの目標です。
現在、大部分の病人やお年寄りはその最期の時を病院で迎えています。
しかし病院では多くの場合、「家族は処置中は外で」と部屋から出され、ふたたび呼び入れられたときは、病人は息をひきとった後です。
そこでは、病人は他人に囲まれ、家族は病人のそばにいてあげられないという不幸な状況が起こります。